心の窓辺
『コッチ、コッチにおいでよ!』
窓辺に、また小鳥達が集まって私を呼んだ。
このことは、誰にも内緒の私だけの秘密にしている…。言って他人の意見・思想など語られても煩わしいだろうから 一人だけの小さな“秘密”を時折楽しめば良いのだ。
ボーンボーンボーン…
この部屋にある不釣り合いな鳩時計。何年たっても正確に時を刻み、誰よりも私自身よりも此処の部屋での出来事、歴史を全て把握して知っているだろうと思うから…静寂な夜、特に月の光りが綺麗な時には明かりに照らされる時計をいつまでもみている。何をみて何を感じたの?
「退屈じゃないかって?」
全然…退屈なんてことはない。だって、これが私の“現実”だから。
ここ暫く…窓辺にくる小鳥達が増えたようだ。
窓の外は、暖かい風が吹いて花の香りも運んできてるのに気付いて…微笑んだ。
周りの人達は、何も変わらず“働き蟻”のように動き続けている。
『コッチ…コッチに、おいでよ~もう暖かいよ』
私を、呼ぶ小鳥達の声は日に日に大きく急かすように誘うようになって…
最初こそベッドから出ることをためらっていた。