たとえ世界を敵に回しても◇第一部◆
第一章
迷い猫
夜の帳を風切るように走り抜ける。
パタパタと絶えず足音が聞こえるけれど、ちらりちらり、と後ろを振り向くことをやめられない。
あと少し、あと少し―。
そうやって自分を励ますように、祈る。
だけど、どこまで逃げればいい?
どこまで逃げれば、この運命から抜け出せる?
わからない。
答えは永遠にないのかもしれない。
それでも。