真実の笑顔。
「高橋君。私もね、お母さんがいないの」












え・・・・・。







伊集院は、寂しそうな笑顔で言った。
















「私が小さい時に・・・。病弱だったからさ・・・。それから、私1人で・・・お父さんも、仕事ばっかりで・・・。あ、でも・・・今は仲良くなったけど・・・。あの頃は、お父さんを恨んで、笑うこともなかった。」













初めて知る、伊集院の過去。














「その時にね、笑うことができるようになったの。ある人に出会って・・・。」
















伊集院の表情は、穏やかだった。














「その人ね、私にね、笑わせてあげるって言ったんだよ?変でしょ。初対面で・・・」















俺も、伊集院に言われたことがある。それは、そいつが言ってた言葉だったんだ・・・。













「だけど、その人は私の前から消えたの。もう、会えないけど・・・。私は、約束したんだ。ずっと笑ってるって・・・。」














すげー好きだったんだな。そいつのこと・・・。伊集院の顔見ればわかる。










伊集院は、愛おしそうな顔で話してるから。













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