告白[短編集]
「じゃ、さっきのって付き合うの断ったんじゃなきゃ『嫌ってわけじゃない』ってなに?」


みるみる真っ赤になる舞。

いったいなんなんだ?


「だって、隆が『期待』って言うから。」


うん?


言ったけど、それがなんだ?


「何を思ったわけ?」


舞の目がさらに潤んでくる。


「イジワル。」


小さくつぶやく舞。


バカ、めちゃくちゃ可愛いだろ。


何が『イジワル』だよ。


胸がキュンとしたじゃねぇかよ。


「なぁ、言えよ。」


何を考えたのかまったくわからないけど、聞きたい。

『イジワル』な理由。


また下唇を噛む舞。


なに考えてる?


「バカ、また噛んでるぞ。」

唇を親指でなぞる。


軽く開く赤い唇。


潤んだ瞳。


キスしてぇ。


もう付き合ってんだから、キスありか?


付き合ったその日にキスありなのか?


もし嫌がられたら?


嫌われたら?


立ち直れねぇな。


はぁー、今は我慢だな。


「隆。」


今俺呼ぶな。


スゲー我慢してんだよ。
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