告白[短編集]
ドアが開いて、たくさんの人が乗り込んだ。


隣にサラリーマン。


体が強張ると思った瞬間、望が動いてサラリーマンから遠ざけてくれる。


なんでもないよ、とでも言うように、優しく抱きしめてる手で、背中をなでてくれる。


望、望、望。


大好き。


サラリーマンに痴漢されたのは、本当に嫌な最低な記憶で、一生忘れられないだろうけど、望がいれば平気。


だって心がこんなにも暖かくなるんだもの。





あの日は、望が宿泊学習で、私は初めて一人で朝電車に乗った。


望がいなくて淋しいと思っていたら、お尻に違和感が。


最初は、鞄でもあたってるのかな、ぐらいにしか思わなかった。


それが、少しずつ動き出しても、私のお尻にあたってるのを気づいて動かしてくれたのかな、なんてのんきに思ってた。


それがお尻をなでた瞬間、手だってわかった。


手は、スカートをまくり、下着ごしにお尻をなでまわしていった。


痴漢だ。


体が動かなかった。


動けなかった。


声すら出せなかった。


ただ、怖かった。


気持ち悪かった。
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