告白[短編集]
望がテーブルの下で手を握ってくれる。


望、大丈夫だよ。


なんにも怖くないよ。


望知ってる?


私痴漢にあったのに、痴漢の事考えるより、望の事想っている時間の方が長いんだよ。


痴漢は本当に嫌だったけど、望がいれば大丈夫なんだよ。


望わかってる?


私がどれほど好きか。


ううん、違う。


好きじゃない。


愛してるの。


私は望を愛してる。


中学の卒業式、玉砕覚悟の告白。


本当に告白してよかった。

もし私が告白しなかったら、望の隣にいるのは別な人だったんだろうな。


そう考えるだけで、心が痛くなる。


こんなふうに手を握られるのは、別な人だったんだろうなと考えるだけで、泣きたくなる。


本当に告白してよかった。


過去の自分を褒めてあげたい。


あの時がんばった私がいたから、今私は望の隣にいることが出来る。


よくがんばったね、中学生の私。
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