告白[短編集]

｢それでは、何か聞きたいことありますか？｣


｢なんで私だったのですか？
たくさんいる女性の中で、なんで私だったのですか？｣


それは、綾が魅力的って事なんじゃないか。


｢可愛いと思ったそうです。
綾さんが、望に笑いかける姿が、すごく可愛くて、自分の彼女だったらと考えていたそうです。｣


なんだよそれ。


そんな理由で痴漢を。


｢バカ。
痴漢するくらいだからバカだけど、そんな理由だなんて、本気のバカ。｣


母さんが吐き捨てるようにしゃべりだす。


｢そう思いません、田代さん？
女の子が可愛く見えるなんて当たり前。
だって恋してるんですもの。｣


今まで黙っていた綾の母親が話し出した。


｢そうですね。
綾が可愛く見えたとしたら、それは隣に望くんが居たからであって、立川さんの言う通り、綾が恋してるからです。
絶対に痴漢した人の隣ではありえません。｣