お前のためなら死んでやる
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あたしが桜咲に半強制的に連れてこられたのは、繁華街を抜け、あたしがいつも座っているベンチがある建物もとおりこした場所。
暗闇の中でも目立っているであろう、この建物。
見上げれば3階建てぐらいあるんじゃないかと思わせる高さ。
だが、家かと言われればちょっと違う。
ほぼ真四角といったこの建物はあたしが思うに、廃棄工場だろう。
「ここ、俺ん家。」
そう言われても、人が住むようには見えない。
ここ工場じゃん。そう言おうと思った矢先、また桜咲があたしの腕を引っ張ってきた。