お前のためなら死んでやる
俺が女に会う為に学校に来る事が増えた事をリョウとシュンも薄々気付いている。
その日は溜まり場にむかう途中なぜか五十嵐を見つけた。
こんな時間にどこに?
備考するように、五十嵐を追った。
そいつが居たのは建物に挟まれたベンチの上。
耳にイヤホン。
目には涙。
拭く事もせず、ただ一筋の涙を流す。
月明りが彼女を照らす。
反射した涙が不覚にも美しかった。
その次の日もまた次の日もいた。
一週間、俺は変質者のように後をつけた。
一週間に一度五十嵐はある店に居た。
「…ber.tomoki」
俺は、未成年者ながらその店に立ち寄った。
「知樹さん!」
驚いた。晴菜さんと結婚した知樹さんがいた。
知樹さんは、シュンの兄貴。
何度か会った事がある。