お前のためなら死んでやる

「知り合いか?アイツなら今でてくるぞ。」

そう指さされたピアノの方に振り返ると晴菜さんと五十嵐がいた。

五十嵐はこっちをむいていないから俺には気付いていない。

演奏が始まると、綺麗な歌声がお店を包んだ。

お店に居たお客も飲む手をとめ、五十嵐の歌声を聴いている。

俺も同じように、瞬きを忘れ立ちすくんでいた。

「………ゴク」

思わず唾を飲み込んだ。
まるで本物の天使だ。

彼女は今までに見た事のない、美しい女だった。

俺はまだ聴いていたかったけど気付かれるのを恐れ、知樹さんに今日来たこと五十嵐に言わないでほしいと告げてから店をでた。

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