お前のためなら死んでやる
桜咲の寝顔を見ながらあたしは昔を思い出す。
そんな偶数あるはずない。
だってあの男の子が今あたしの目の前にいるはずがないんだから。
神様があたし達2人を引き離すように運命が動いた。
男の子と出会った翌日、あたしの家族は引っ越した。
隣りの県とかそこまで遠くはない。
今の町から20km離れの町。
だから、小学生だった私は転校という形でこの町を去った。
男の子の記憶は1日分しかない。
それでも、あの一日があたしにとって濃すぎる時間。
この町での幸せな思い出だから。