お前のためなら死んでやる
あたしは、再びこの町に戻ってきたんだった。
引っ越した場所で母が亡くなり、結局あたしは怖くなってその町を離れた。
むかったさきは、昔住んでた場所。
どうしても戻らないといけない気がして、いつかはいつかはって思ってるうちになんでだったのかを忘れていた。
きっと私は男の子に会いたかったんだ。
だけど、もう10年近くたっていた。
それに、あの公園ももう住宅街になって消えていた。
結局名前も聞いてない男の子を探すことなんて不可能だった。
手掛かりは、ひとつ。
抱き締めた時に見えた首筋の黒子。
それだけちゃっかり覚えていた自分が阿呆らしい。
いつかまた、会えたらいいな。
神様があたし達を引き離したなら、あたしは自分の足で彼に会いに行こう。
これはきっと運命なんだ。
だから私は信じてる。
また君に会えることを。