お前のためなら死んでやる

「喧嘩楽しんでるって何?」
ギュっと握られた手を振りほどく事ができなかった。

なんで、そんな顔するの?


ほんとの事言っただけ。

喧嘩してんのそっちでしょ?

「殴ったり、蹴ったり…暴力ってそんなに楽しい事なの?」

「楽しいわけないだろ!俺だって、遊びで族の頭やってるわけじゃないんだよ。俺らの事知らないくせに、楽しいとか言うじゃねぇよ!」

はっ?逆ぎれ?遊びじゃなくても、あたしは暴力をやめない彼らに気を許せるほどバカじゃない。

それに…

「分かってないのあんたでしょ!?あたしの何を知ってんの?あたしは…暴力で事を沈めようとする男が許せない。アイツみたいに…人の命奪っといて、謝りにも、葬式にもこない人間大っ嫌いなの!!あんたも一緒なんでしょ?どうせ、喧嘩して弱い相手見下して申し訳ないのひとつも感じてないんでしょ?世の中強い奴だけいるんじゃないの!弱い人間は、生きる事も許されないの?あたしは、暴走族なんか大っ嫌い!!!」

床にあった制服をつかんで、あたしはスウェットのまま部屋をでた。
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