お前のためなら死んでやる
目の前にある工場。
桜咲の家。
階段を上り、ドアの取手にコンビニでもらった袋に入れたスウェットをかけた。
階段を降り家に帰ろうとした時、目の前にチャラい不良がこっちを見て笑っている。
気持ち悪い。
早く帰ろう、もうこの場から離れたい。そう思ったのに。
「ねぇ彼女。桜咲とどういう関係?」
さっきも聞かれたばっかなのに、また答えるなんて面倒くさい。
無視して歩いていたのに、いつの間にか2、3人に囲まれていた。
「ちょっと、逃げないでよ。言わなくても知ってるけどね。君、桜咲の“女”だろ?」
はっ?女?あたしが?
「違うし」
「まぁまぁ隠さなくても。俺は桜咲に恨みあんの。だから、あんたには協力して貰わないと」
ニヤッと笑った彼らは私を背後から捕まえてきた。
「ちょっと、離してよっ!」
もう1度不気味に笑った瞬間、腹部に激痛が走った。
「――っ」
あたしは膝から崩れ落ち、目の前が真っ暗になっていくのを感じた。