お前のためなら死んでやる

目の前にある工場。

桜咲の家。

階段を上り、ドアの取手にコンビニでもらった袋に入れたスウェットをかけた。

階段を降り家に帰ろうとした時、目の前にチャラい不良がこっちを見て笑っている。

気持ち悪い。

早く帰ろう、もうこの場から離れたい。そう思ったのに。

「ねぇ彼女。桜咲とどういう関係?」


さっきも聞かれたばっかなのに、また答えるなんて面倒くさい。

無視して歩いていたのに、いつの間にか2、3人に囲まれていた。


「ちょっと、逃げないでよ。言わなくても知ってるけどね。君、桜咲の“女”だろ?」


はっ?女?あたしが?

「違うし」


「まぁまぁ隠さなくても。俺は桜咲に恨みあんの。だから、あんたには協力して貰わないと」

ニヤッと笑った彼らは私を背後から捕まえてきた。

「ちょっと、離してよっ!」

もう1度不気味に笑った瞬間、腹部に激痛が走った。

「――っ」

あたしは膝から崩れ落ち、目の前が真っ暗になっていくのを感じた。
< 92 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop