お前のためなら死んでやる
「ハル、喧嘩はしないで。あたし、暴力が嫌いなの。ハルが桜咲の父を嫌うようにあたしも父が嫌い。あたしの母は父に酷い目にあわされた。あたしの母はもういない。」
「………え」
「自殺したの。父はあたしらを捨てた。あたしは、暴力を振う父が嫌い。だから喧嘩も嫌い。ねぇハル、喧嘩はしないで?」
「分かったよ。優音が苦しまないなら。」
「初めて優音って言った。あたしも初めてこの話した。初めてどうしで照れちゃうね。」
「優音、側にいろよ。それが俺からの命令だ。」
幸せを感じる。ちゅっと軽いキスをしておでこを当てながら微笑むあたし達は幸せ者だね。
これが、愛かな?
‥‥――そのころ桜咲達があたしを探して必死になっていたなんて今のあたしたちにはわからなかった――‥‥