君と見た夏―あの日の約束―
―――――――
「「間に合った!」」
まだ相手の高校は来ていなかった。
「ありがと!原野。助かった!」
「いいよ、準備運動になったし!」
「あ、そーいえばさ」
「何〜?」
「試合のあと、監督がおまえに用があるって…!!」
「ほーい、りょうかい」
監督か。
つか、なんで原野伝い?
ま、いっか。
「あ、きた」
相手の高校が来たようだ。
相手の高校――浦里学園高校は、はっきり行って、弱い。
ただ、エースは強いらしい。
とりあえず、
今日は勝つ!!
「あれだよ、エース」
「どれどれ?」
原野が指差した方向を見た。
……一瞬、周りの音が…
聞こえなくなった…。
「嘘……」
その方向に見えた
エースの背番号を背負っていたのは
あたしの、
初恋のひと…
赤沢 一馬だった。