キスより甘く。
「な、にし、っ」

驚きすぎて、声が出ない。

何が起きてるの?



「アハハ。千麻ちゃん間抜け面。駄目でしょそんな顔、女の子がしちゃ?」



そう言って笑顔のまま、

佐伯諒の顔が

だんだんとアップになっていく。



「……や、あ」



反射的にギュッと目を瞑る。

唇に柔らかい感触。

…が、走ると思っていた。





――コツン。



「…?」



恐る恐る目を開けると

間近に佐伯諒の顔。

おでことおでこがくっついている状態だった。

佐伯諒がクスリと笑う。


「――キスでも期待しちゃった?」

「…っして、ない!」

「ふぅん」



……てか、近すぎる。



吐息が触れて、くすぐったい。

顔が近すぎて、恥ずかしい。

身体中の熱が上がる。





 
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