だから「アイシテル」
たぶん・・・いや、間違いなくこのとき俺は香織に恋をしていた。でも俺の予想だけど香織は俺を兄妹のような目で見ていただろう。

18歳の香織と21歳の俺。

どう考えたって向こうが本気になるわけなんて無い。
ペンギンのコーナーで写真を撮りながら笑っている香織を見ると心が締め付けられるほど切なくなる。

―いつか俺のこと好きになってくれるだろうか?

同じ言葉が頭を木霊する。


「ねえ、ヒトデとかウニとか触れるコーナーあるって!行こうよ!」

「まじで?どこ?」

「屋上だって!」

「よし、移動するか!」


無邪気にそして無意識に俺の服の裾を引っ張りながら急かす香織がもはや愛おしくさえ感じた。

「ぶにゅぶにゅしてるね」

「こいつはトゲトゲしいよ」

「ふふ笑」

「ん?」

「信は見た目モテるのに中身はだめだめなんだね笑」

―なんだよ、それ

「でも、素直だからきっと惚れる人はたくさんいるんだろな。」

―お前は惚れてくれないの?

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