*PRECIOUS DAYS*

入学式にて

――2006年4月10日(月)


県立高校入学式


今日の電車の中は、初々しい新入生たちで埋め尽くされていた。
制服のスカートは、規定の長さぴったりで、ブレザーの前のボタンは全てしっかりはめられ、化粧もしていない。

私は、中学の頃から化粧など全くと言っていいほどせず、恋は二次元限定だった。
全く現代の女子高生やらに合わせる気はなかった。
遥菜も割とそんな感じだ。だから、私たちの会話は常に、恋愛シミュレーションゲームなどの話題ばかりだ。

『そんなんじゃ、いつまでたっても本当の恋愛なんて出来ないよ』

――そんなの何度も言われてたから、分かってるよ。でも……。
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