紅ノ刹那




しかし。


緋焔が寝ようと思えば思うほど、先程の会話が思い起こされ、眠りにつくどころではなかった。




仕方なく、起き上がり
未だ消えない炎を見つめる。


それでも、頭の中では
砂夜のことを考えてしまう。



思えば、自分にあれほど無礼な口を利いたのも、自分がこんなにも誰かを気にしたのも、
今日が初めてかもしれない。


ふと、そんな事に気がつく。





チラチラと揺れ輝く炎越しに、砂夜を見つめた。



美しい顔に、優雅で気品のある身のこなし。
だというのに、野宿の知識もあり、無愛想で、
男のような口調で話す。





砂夜は、緋焔の周りにいた
どの人物よりも鮮烈に、
緋焔の心に焼き付いた。





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