紅ノ刹那
「親父、何の用だよ?」
執務室のドアを蹴り開け、開口一番にそう言う緋焔に、
父王も醒燕も同じ様な呆れ顔を向けた。
「全く……緋焔、
お前はもう少し落ち着きと威厳をもてないのか…」
盛大にため息をつきつつ、王が顔をしかめる。
緋焔の後では、醒燕が同意するようにしきりに頷いている。
それを全て無視して、緋焔は父王に詰め寄った。
「いいから、早く要件を言ってくれよ。
俺だって忙しいんだ」
「そんなに忙しそうには見えんが。
どうせ寝ていたのだろう?
頭に葉がついているぞ。
これだからお前は……」
「説教はいい」
緋焔は父の言葉をぶったぎった。
父王はもう一度、深いため息をついた。