月の恋人
汗びっしょりになって走ったけど
結局ボールは捕れなくて
一切、手加減なしのイトコに
腹が立ってくる。
手加減されたらされたで
多分、もっとムカつくけど。
しかし
さっきから俺ばっかり走らされてて
アイツ、汗ひとつかいてねーんじゃ…
「待った!翔!き、休憩!」
翔に近付きながら
片手を挙げて降参する。
「え?…もう?お前、俺より若いんだから、もーちょっと頑張れるだろ。」
「無理無理、カンベン」
翔を通り越して
そのまま、木陰に倒れ込む。
ったく、若いのはどっちだよ。
――昨夜、
あんま、寝てないくせに…―――