月の恋人
「涼っっ!?」
慌てて、駆け寄る。
「………んーーーー……」
あ、なんだ。
びっくりした。
ベッドじゃなくて直接フローリングの床に横たわっているから、倒れてるのかと思った。
ほっとしたところで、ふと、あるものに目が留まる。
ヘッドフォン。
けっこう、モノが良さそうな、耳当てがふかふかな、ヘッドフォン。
それが、涼の耳には当てられず床の上に転がっていて、そこから音が漏れていたのだ。
―――ちょっと待って。
―――ヘッドフォンから漏れる音が、こんなによく聴こえるって事は……
案の定、耳に当ててみると、ものすごい大音量が頭の中に響き渡った。
「わっ…」
慌てて、ヘッドフォンを外す。