月の恋人
――…しまった……
勢いとは言え
こんなところに、一人で来てはいけなかった。
“後悔、先に立たず”
こんな時なのに
一瞬
教科書に載っていたコトワザが超高速で頭をよぎった。
男は、あたしの表情などお構いなしに畳み掛けてくる。
「見ない顔だね♪ニューフェース!?」
「あ、の……」
逃げようにも、
男は、ちゃっかりあたしの腕を掴まえていた。
「俺らのたまり場へ、ようこそ♪ さ、案内するからおいで。」
「え………ちょっ…放して!!」
どうしよう、このまま訳の分からないところに連れ込まれたら、絶対ヤバイ。
この人
なんて言うんだろ
――…世間で言うところの、“ヤンキー”だ、多分…