月の恋人
よく見ると
男は、鼻と唇に銀色に光るピアスをしていた。
耳にも、沢山穴が空いている。
少なくとも、今まで生きてきた中で、あたしが顔を合わせることすら、なかった人種だ。
放して、というあたしの言葉に男が立ち止まった。
くるりと振り返る。
見ると
意外な程、素直な光を宿した瞳がそこにあった。
「……ふーん……」
上から下までジロジロ見られる。
まるで、品定めでもされてる気分。
「よし、合格!」
「………は!?」
合格、と聞こえたような。
――――――……何が?