月の恋人
なんだか憎めない男は、声を潜めて、予想だにしないことを口にした。
「…とにかく、おいで。さっきからヤバい奴らがウロウロしてる。君みたいなのが、こんな所フラフラしてたら、危ないよ。」
「…………………え?」
ヤバイ奴ら……って
てゆーか
あなた達は、ヤバくないんですか?
でも。
このまっすぐな目は
あながち嘘とも思えない。
あたしは
男に手を引かれるまま
暗い、地下へと続く階段を降りて行くしかなかった。
――…そして
この後、あたしは
自分の行動を大後悔することになる。