月の恋人
……マシュマロは、嫌いだ。
いや
マシュマロに限らず
甘いものは、全て得意ではない。
だけど
あの日
翔に宣戦布告をした後、立ち寄ったコンビニで
その白くて柔らかい質感が目に入った瞬間
猛烈に、誘惑された。
触れたい食べたい俺の中に取り込んでしまいたい……
気が付くと、俺はマシュマロを片手に
レジへ向かっていた。
渇いた喉を潤すためのスポーツドリンクを買いに行ったはずなのに。
優しい感触を掌に感じて
たまらなく、逢いたくなった。
――――…陽菜(アネキ)に。