月の恋人
「…… 熱、下がってきたな。」
そう言いながら、額をコツンとされた。
伏せられた睫毛を見ているうちに、記憶が朧げに蘇ってきた。
―――…あぁ、そうか。
「…………… あたしが…」
――…あたしが、涼を引き留めたんだ。
――――…
『……甘えろよ』
成り行きとはいえ
なんだか……
恋人さながらの会話を思い出したら、急に恥ずかしくなってきた。
あんまり…
キョウダイで、する会話じゃないよね…?
「…… ぶっ 」
涼が至近距離で吹き出す。
「え?なに?」
―――… 笑った?
「おまえ、なに一人で百面相してんだよ。」