月の恋人
「百面相なんか、してないもんっ!」
途端に真っ赤になったのがおかしかったのか、さらに笑われた。
もう、ナマイキ!
―――…ちょっと
弟ながらカッコイイな、って見直してたとこだったのに。
「… 元気になったなら、良かった。」
ふいに、抱きしめられた。
「…… りょう…」
ぎゅっ、と
背中に回された腕に力が入る。
「おまえ、もう二度とあんなとこ一人で行くなよ。」
「ん…… 分かった。」
………不思議。
いつの間に、こんなに頼りになる男の子になってたんだろう。
いつの間に、こんなに……頼りにしていたんだろう。
涼の胸に顔をくっつけたら、また愛しさが込み上げた。