月の恋人



「… 触んな」


俯せのまま、こっちを見ようともしない。

拒絶の言葉が、胸をツキンと刺す。




「… どうして、そんなに怒るの?」



「… 怒ってねーよ」



「嘘… 怒ってるじゃないっ!」








―――… ここで

あたしは、やめるべきだったんだ。



追求するべきじゃ、なかった。




だって




「ちゃんと、こっち向いて話して…よ……」



無理矢理、こっちを向かせた涼の顔は、涙に濡れていたから―――…










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