月の恋人
「あたし…何か気に障る事を言った?」
「……………」
「昨日から、優しくしてくれたと思えば、急に怒ったり、泣いたり… こんなんじゃ、あたし、どうしていいか、わかんなくなるよ。」
とにかく、あたしは
涼に心を開いて欲しくて。
自分の欲求ばかりを涼に押し付けて。
涼がどんな気持ちでそれを聞いていたのか、なんて、考える余地もなかったんだ。
「ねぇ、涼……」
「優しく、…して、欲しいの?」
ようやく開いた涼の口から発せられたのは
ゾッとするような、低い声だった。