月の恋人
なにかが、音を立てて崩れていくような
そんな危機感を背後に感じて
あたしは、ようやく目が覚めた。
涼に守られてばかりで
甘えてばかりで
すっぽり、繭にくるまれて。
居心地の良かったその殻を、なかば強引に剥ぎ取られて、
あたしはすっかり、ひとりだった。
だけど、その分、外がよく見える。
あたしを取り巻く、この世界が。
生まれたての蛹(サナギ)に、羽根は生えるか――…
飛び立つ時期が、迫っていた。
【ララバイ】終