月の恋人
◆
「――…… はぁ…」
コレで計何回目のため息なんだろう。
地球上の酸素を無駄に消費している気さえしてくる。
「―――… ふぅ…」
ここに来てから、もう5日になるのか。
あの、嵐の夜から――…
『陽菜が好きだ』
そう、決別の告白をしてから。
隣町にあるばあちゃん家に転がり込んでからというもの、何もせずため息ばかりついて、もうすぐ一週間だ。
いい加減、なんとかしなきゃいけないんだろうけど。
ばあちゃんやお袋が甘やかすのをいいことに、俺はここに居座り続けていた。
陽菜からの着信やメールは目に入っていたけど、全部、無視した。
何をどう返事していいか、わからなかった。
逃げてばっかりじゃだめなのは分かっているけど
どうしても、向き合えない。
だって、次に陽菜と会うときは――…
きっと、最後通告を突きつけられる時だから。