月の恋人
◆
芹沢のおじさんから一本の国際電話がかかってきたのは、そんな時だった。
―――…
『―――… え?』
『いや、別にすぐにという訳じゃないよ。気が向いたら返事をくれればいい。涼くんはまた若いしね。ただ、いつか行こうと思っているなら、若いうちの方がいい。こちらはいつでもウェルカムだからね。』
――――…
お盆に帰国するから、詳しくはまたその時に、と言ってその電話は切れた。
八方塞りの俺にとって、それはまさに“天の声”だった。
『―――… スコットランドに来ないか?』
おじさんからの、その提案は。