月の恋人





芹沢のおじさんから一本の国際電話がかかってきたのは、そんな時だった。



―――…



『―――… え?』


『いや、別にすぐにという訳じゃないよ。気が向いたら返事をくれればいい。涼くんはまた若いしね。ただ、いつか行こうと思っているなら、若いうちの方がいい。こちらはいつでもウェルカムだからね。』




――――…



お盆に帰国するから、詳しくはまたその時に、と言ってその電話は切れた。


八方塞りの俺にとって、それはまさに“天の声”だった。





『―――… スコットランドに来ないか?』





おじさんからの、その提案は。






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