月の恋人
「…… 陽菜ちゃんは、どーしとる?」
「…… 元気にしてるよ。相変わらず、ぼーっとしたとこがあるけど。」
ばあちゃんも、陽菜が大好きだ。
初めての女の子だったし、なによりあの可愛らしさだ。
ちっちゃい頃は陽菜を連れて、自慢しながら近所を歩くのが日課だったらしい。
「悟んとこの翔くんが、来とるんだら?」
「あぁ、―――… 翔は、ちょっと変わったかも。金髪… 髪の毛が、金色になってたよ。」
「まぁあ、そぉーかね。最近の若い子は、カッコいいんだねぇ。」
―――… さすが陽菜のばあちゃんだけあって、結構ズレてる。
非行とか暴力とか、そっちの心配はまったくしてないらしい。
「カッコいいっていうか… まぁ… 別にいいんじゃない?」
なんか面白くない。みんなして翔を肯定するのが。
そんな雰囲気を察知してか、
続いてばあちゃんの言った一言に――… 度肝を抜かれた。