月の恋人
「なんじゃ、2人で、陽菜ちゃんの取り合いでもしとるんか?」
「ぐふっっ…うぇlュっ☆wgっ¥*でg(変換不可能) …… はあ!?」
あまりの図星具合にスイカの種が喉につっかえてむせ返った。
まったく、なんてタイミングでなんてこと言いやがんだババァ。
「ふふふふ… お前たち3人は、まぁ小さい頃からちっとも変わらんなぁ。」
「…………」
―――… やっぱり、陽菜はこのばあちゃんに似てる。
春の陽だまりのようにやわらかく微笑むところとか。
ぼーっとしてるようで、ズバリ確信を突いてくるところとか。
「お前も、翔くんも、陽菜ちゃんが大好きで大好きで仕方なくて。まー、悟の一家がここから出て行くときの騒ぎといったら、なかったもんなぁ。あれあの時、珍しく翔くんも泣いとったなぁ。」
「……… そう、なのか?」
それは、初めて聞いた話だった。
陽菜が、わんわん泣きまくっていたのは知ってるけど。