月の恋人







ここ、【Apollo】は

夜になると、音楽好きな人やアーティストが訪れる、“知る人ぞ知る”バーなんだそうだ。



ジャンルを問わず不定期にライブが行われ

扉の奥には、レコーディングが出来るスタジオもあるらしい。




その、オーナーが、おじいさん。

なんでも、
昔は結構有名な演奏家だったとかで……






「年寄りの道楽、ってやつだよ。なー、じーさん。」


「タケル。お前、口の利き方に注意せんか。“好きにやらせてやれ”と、お前の両親を説得してやったのは、このワシじゃぞ。」




タケルさんとおじいさんの間に、何とも言えない親密な空気が流れる。




「―――――… あ!」







もしかして――――…





「――…どうしたね、お嬢さん。」





おじいさんの、素直な光を宿した瞳。


温かな、包み込むような

ホッとする、このオーラは――…










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