月の恋人
◆
「すっげ…… なんだ、このハーモニー…」
翔くんとあたしの『マイウェイ』を聴いてしばらくした後、ジョージさんが小さく驚嘆の声を上げた。
「…やっぱ、血縁関係あるってスゴイな。双子みたいなシンクロ具合だもんな。」
「だろ!?この、色だろ!この、空気感じゃね?!Another(アナザー)にはさ!」
三人は、途端に興奮してあーでもない、こーでもないと、あたしの分からない話をし出した。
そんな中、ジョージさんが、あたしがずっと心に引っ掛かっていたあの名前を……出した。
「いや… 良いよ、良いね、陽菜ちゃん。オレは別に鹿島さんでも良いって思ってたけど、透明感が違うよなぁ。」
―――…“鹿島さん”…?
「あ… 鹿島さん、って、こないだの…?」
――…“鹿島さんも良かったけど”…?
一体、どういう、ことなんだろう―…
“鹿島さん”は、翔くんの、彼女じゃ……ないの?