月の恋人
「――… タケル。イイ加減、陽菜ちゃんを放せ。」
ぐいっと後ろから力が掛かって、タケルさんから引き離される。
「悪いけど。陽菜ちゃんは――…」
そのまま、後ろから低く囁かれた言葉に
心臓が、止まるかと思った。
「――… オレのもの、だから。」
―――――… 翔くん
いまのは―…どういう、意味ですか?
「おいおい、歌姫巡って火花散らすなんてベタな事してんじゃねーよ。準備して、新曲やるぞ2人とも。」
固まってしまったあたしを余所に
ジョージさんが仕切り直して、練習が始まった。