月の恋人
それは、正直な気持ちだった。
だって、あたしには涼が必要で。
細胞のひとつひとつが
失ったかけらを探しているように
“涼”という存在を目にして、
あたしの全身は
やっと見つけたそれを吸収しようと、急激に熱を高めて、悲鳴を上げそうだった。
そんな風に迫る感情を、他にどういう言葉で表したらいいの?
―――――…
「………… ふざけんなよ。」
しばらくの沈黙を置いて涼から返ってきた応答は
困惑と、怒りと、悲しみに満ちていた。
「おまえ、やっぱり何もわかってねーよ。“好き”!?ふざけんな!」
次第に大きくなっていく涼の声に、怒りの大きさを感じた。
そして、続いて放たれた、その、宣告にも似た言葉に
あたしは、深い絶望の淵へ、追い込まれることになる。
「……… 俺、スコットランドへ行くことにした。もう、会わないから。」
―――――… な、に …・・?