月の恋人
―――… 声が 出ない。
おばあちゃん家の帰り道
思いがけず、涼と会えた。
ずっと、ずっと 探してた。
この子の存在を、体が求めてた。
涼を見た瞬間
枯れていた体中の細胞が、一気に水を吸い上げて…花開くような気がした……のに。
続いて涼から発せられた言葉に
今度は、奈落の底まで突き落とされた気がした。
目の前が、真っ暗になった。
『俺、スコットランドへ行くことにした。もう、会わないから。』