月の恋人



空っぽ。





あたしはまるで
空っぽの、器だった。



翔くんも、涼も、

一体、いま、何をしてるんだろう。




漠然と考えてみたりするものの
答えを見つけ出す前に、体がそれを拒否してしまう。




会いたいのに――…。





そして、逃げるように…眠りに、落ちる。

慢性的な睡魔は、あたしの気力を奪って、更に部屋から出られなくしてしまう。



“こんなことを繰り返してたら、いつかダメになる”

そんな声がどこかから聞こえてきた。







――…分かってる。



きっと、体は知っているんだ。


限界が、近いことを。


不安に駆られて目覚める
いくつもの朝焼けの、危険を―…




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