月の恋人






「陽菜、亜美ちゃん来てくれたわよ。」


亜美が家を訪ねてくれたのは、そんな折だった。

たまたま近くを通りかかったから、と言って。





部屋の扉を開けて入ってきた亜美は、あたしの顔を見てしばらく何も言わなかった。

… いえなかったのかもしれない。




「陽菜…ちょっと… まるで病人じゃないの!どーしちゃったのよ!?」



大げさだなぁ、と思いながらベッドサイドに置いたノートに返事を書く。




(ごめんね、声が出なくなっちゃって。)





「それはおばさんから聞いたよ!そうじゃなくて…自分の顔、鏡で見た!?痩せすぎだよ!陽菜!?」


(だいじょうぶ、だよ。ちゃんとごはん食べてるし)


「じゃあ、何でそんなにげっそりしちゃったの!?」




久しぶりに会った亜美は、突風みたいに激しくて。
青空の真ん中にあるお日様みたいに、熱くて。


ここのところ沈みがちだったあたしには
すごくすごく、眩しかった。


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