月の恋人
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お盆を迎える、蝉時雨。
連日の暑さで、庭に植えられた紫陽花はその葉をクタリと萎ませ、大きくなり過ぎたひまわりは頭を支えきれず、上の方で首をひん曲げている。
起床、朝飯、水遣り、草とり―…
ばあちゃん家で過ごす毎日にもサイクルが出来て、体に馴染んできた。
ここのところ、何故か、アキもここに入り浸っている。
原因は―…これだ。
『おおっと!初球から打ちに行きましたー!打球は三遊間を抜けて…ヒットです!9回裏、同点のランナーが出ました、○○高校!まだまだ、試合は終わりません!』
「ヨッシャー!!」
毎日、遊びに来るなり、テレビにかじりついて甲子園観戦。
まぁ、無理もないか。
今でこそ、トラブルが原因で足が遠のいているが、アキは元々野球部で。
昔から地元の少年野球チームで活躍してきたこいつは、やっぱり野球バカだ。