月の恋人




――…あたしに今できること。





アナザーのみんな。

あたしは、今日この舞台で
みんなと一緒に歌うことはできないけれど


せめて、あたしに今できること
いま、してあげたいことを…させてください。





そして

おじちゃん、おばちゃん

翔くん――…涼。





これが終わったら
みんなで、話し合おう。

納得いくまで、何度も。



あたしたちには、言葉があるのだから。





コンテストの結果なんて、

本当はどうでもいいのかもしれない。


心に、届いて

胸に、響いて

みんなが、共鳴し合えたら。


きっと、世界は明るく変わる。




ライブハウスを背に振り返った青空に

祈るように、目を閉じた。



太陽が、瞼に熱を宿した。






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