月の恋人
◆
そのあとのことは、
はっきり言ってよく覚えていない。
いま、思い返してみても
どうしてあんな大胆なことが出来たのか
不思議でしかたない。
やっぱり、魔法にかかってたんだと思う。
事務局スタッフに連絡して、とか
裏の通路から、なんて順序は全部無視して
真正面から、沢山のお客さんを掻き分けて
ステージの下まで行ったあたしを、翔くんが舞台に引っ張り上げて。
(女性ファンの悲鳴が聞こえた気がする)
そしたら
タケルさんとジョージさんの奏でていた音とリズムが、一気に弾け飛んで。
あとは、もう
さながら、パーティナイトだった。