月の恋人








「それではーっ!Another moonの、全国大会出場を祝って…カンパーイ!!」


「乾杯っ!」「カンパイ!」「かんぱーい!」





夜の繁華街。

表に出された【Apollo】の看板には「本日貸切」の札がかけられていた。



貸し切っているのは…桜木家ご一行様。

つまり、うちの家族みんなだ。




仕事を終えたパパも合流して

場所はApolloなのに、異様にアットホームで。

なんだか、すごく…恥ずかしい。



本来なら、バンドメンバーだけが集まってやるはずの祝勝会に、

何故か、みんなも会場からなし崩し的にここへなだれこんでしまった。




あのステージを見てから

大人たちの目がキラキラしているよう。


イキイキしている、というか。

なんだか―…、不思議な感じがする。






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