月の恋人


あたしの視線に気付いて


翔くんが

この日、初めてあたしの目を見た。




「……なに?……怖いの?」



心の奥まで見透かすような
冷たい、その眼差しは



何故か、敵意に満ちていて

そのくせ…、どこか、淋しそうで。




――…こんな翔くん、知らない…






毒を含んだ視線は

あたしを捉えて離さなかった。







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