月の恋人
いつも通り、ボディチェックを済ませてお風呂から出ると、既に深夜1時を回っていた。
みんな寝静まった家は、しんとして
さっきまで賑やかだった分、殊更に静かな感じがする。
誰もいなくなった
リビングのソファに座って、
冷たいお茶を
ひとくち口に含んだら、
どっと疲れが襲ってきた。
すぐ右側にある庭の窓から
涼しい風が入ってくる。
耳を澄ますと
草の陰に夏の虫が沢山いるのか
ジィーーーという音が夜の闇に静かに響いていた。
なんて静かな時間。
あたしはソファの背にもたれ、目を閉じて、夜の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
あぁ
今日は、なんて慌ただしい一日だったんだろ…
学校では終業式があって
通知表をもらって
夏休みが始まって
亜美に発破かけられて
翔くんがうちに来て
そしたら、髪の毛が
キンパツで……
金髪で……………
「やっぱり…男の子って、よくわかんないなぁ…」