月の恋人


いつも通り、ボディチェックを済ませてお風呂から出ると、既に深夜1時を回っていた。



みんな寝静まった家は、しんとして

さっきまで賑やかだった分、殊更に静かな感じがする。



誰もいなくなった
リビングのソファに座って、
冷たいお茶を
ひとくち口に含んだら、
どっと疲れが襲ってきた。


すぐ右側にある庭の窓から
涼しい風が入ってくる。

耳を澄ますと
草の陰に夏の虫が沢山いるのか
ジィーーーという音が夜の闇に静かに響いていた。




なんて静かな時間。


あたしはソファの背にもたれ、目を閉じて、夜の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。



あぁ

今日は、なんて慌ただしい一日だったんだろ…



学校では終業式があって
通知表をもらって
夏休みが始まって

亜美に発破かけられて

翔くんがうちに来て

そしたら、髪の毛が
キンパツで……


金髪で……………




「やっぱり…男の子って、よくわかんないなぁ…」







< 57 / 451 >

この作品をシェア

pagetop