月の恋人
「でも、今日ずっと陽菜ちゃん見てたら、全然変わってないんだなって。
なんかさ、イライラしてた筈なのに、そんなの、もうどーでもよくなってきちゃった。」
「だから……」
翔くんが
あたしから身体を離して
まっすぐに
あたしを見つめた。
「俺が怒ってるのは、完全に、逆恨み。陽菜ちゃんが悪いんじゃないよ。ゴメンね。勝手なことばっか言って。」
「…翔、くん…… 」
あたしは
“陽菜ちゃんのせいじゃない"
って言った翔くんの言葉に、ほっとして
そしたら
翔くんとの間に急に出来た隙間が
やけに寂しくて
もう
いっぺんに
色んな事がありすぎて
頭の中が、飽和状態。